建物だけじゃない。そこにたどり着く時間まで設計する
和歌山県で和歌山・南大阪を中心に地元密着で
新築・リノベーション・リフォームをおこなっている
浅井良工務店の松本です。
今回は、以前訪れたピーター・ズントー設計の教会について。
村の小高い丘の上に建つ、小さな教会です。

遠くから見ると、周囲には昔ながらの家々や山の風景が広がり、その中に教会がぽつんと建っています。
決して大きな建物ではありません。
でも、不思議と目に留まる。
周りの風景から浮いているわけでもなく、この場所だからこそ成立している建築のように感じました。
そして、僕が特に印象に残っているのが、教会へ向かうまでの時間です。

坂道を上っていくと、最初から建物の全貌が見えるわけではなく、少しずつ姿が見えてきます。
「この先に何があるんだろう」
そんな気持ちで歩いていると、だんだん教会が現れてくる。
目的地に着いてからではなく、そこへ向かっている時間からすでに建築体験が始まっているようで、とてもワクワクしたのを覚えています。
教会の建つ場所まで上がると、今度は周囲の山々が大きく広がります。

この景色を見たときに、
「建物だけを設計しているわけではないんだな」
と感じました。
どこに建物を置くのか。
どの方向を向かせるのか。
近づいたとき、どのように見えるのか。
そして、そこからどんな景色を感じるのか。
建物と土地、周囲の風景まで含めて考えられているように感じます。
閉じているのに、不思議と心地いい
内部へ入ると、外とはまた違った印象です。

建物は丸みのある、楕円形に近い特徴的な形。
壁には大きな窓がほとんどなく、天井付近をぐるりと囲むように窓があります。
そのため、外の景色が大きく見える開放的な空間とは違い、少し閉じられた感覚があります。
でも、暗いわけではありません。
高い位置からやわらかく光が入り、室内全体を静かに包んでいます。
外から少し切り離されたような閉塞感が、逆にこの場所では落ち着きや神聖さにつながっているように感じました。
これも、「窓が大きければ気持ちいい」という単純な話ではないんですよね。
どこから、どんな光を入れるのか。
それによって、空間の感じ方は大きく変わります。
家づくりも、土地を見るところから
住宅を設計するときも、同じようなことを考えます。
「南に大きな窓をつければいい」
「リビングを広くすればいい」
というだけではありません。
その土地では、どこから光が入るのか。
隣の建物はどう建っているのか。
窓の先には何が見えるのか。
家に帰ってきたとき、どんなふうに建物が見えるのか。
そして、その場所で家族がどんな時間を過ごすのか。
浅井良工務店では、和歌山の光や風、周辺環境まで読み解きながら、その土地に合った住まいを考えています。
大切なのは、間取りをつくることだけではなく、そこで過ごす時間まで想像することだと思っています。
今回この教会を訪れて、改めて感じたのは、
いい建築は、建物だけで完結していない。
ということでした。
土地や光、風景、そこへ向かう時間。
そうしたものが重なって、初めてその場所ならではの心地よさが生まれるのだと思います。
家づくりも同じです。
「どんな間取りにしよう?」の少し前に、
「この家で、どんな時間を過ごしたいだろう?」
そんなことから考えてみると、家づくりはもっと面白くなります。
浅井良工務店の家カフェでは、間取りや設備を決める前に、まず皆さんがこれからどんな暮らしをしたいのかをお聞きしています。
まだ土地が決まっていない方も、家づくりを考え始めたばかりの方も大歓迎です。
自分たちにとっての「心地いい暮らし」を、一緒に考えてみませんか。

















