Asai-ryo builder Inc.
#Vol,03

自然を感じながら心豊かに暮らすゆかりある土地で、これからもずっと

  • #3世帯家族
  • #古民家リノベ

~出会い~
求めたものは、すぐそばに
ご縁に結ばれて、住み替えリノベーション

穏やかな潮の満ち引きと輝く水面、飛び立つ海鳥、緑豊かな山並みが織りなす絵のような風景。万葉の歌人たちが神々しいまでのその情景を歌に託した地で、Kさまご家族は暮らしを紡いできた。
ご家族はKさまとご両親、おばあさま、そしてお子さまの4世代5人。以前は幹線道路に面した住まいで、車の騒音や排ガスにも悩まされた。三方が隣家に囲まれ、窓を開けることもままならない。庭はなく、道路に面していた駐車場は店舗に来られるお客様用。お子さまが遊ぶスペースとしては使えなかった。

旧宅の1階は店舗、主な生活空間となる2階にはLDKと水回りが配置され、その周りをご両親とKさま親子の寝室が取り囲む。3階のおばあさまの寝室には、他の居室に収まりきらなかった大型の本棚が置かれていた。
ご家族がゆったり過ごせる空間がなかった、以前の住まい。もっと広い部屋で4世代が快適に、不自由なく暮らせたらと思うようになった。

新築を建てるか、中古物件を購入してリノベーションをと考え始めた頃、すぐ近くで一軒家が売り出されていることを知る。まるで、Kさま一家の家探しを待っていたかのようなタイミング。住み慣れた地区で、お子さまの学区も同じ。庭付きで駐車スペースが広く、場所も広さも申し分ない。ご縁を感じてこの物件を購入し、リノベーションすることにした。
リノベーションを託したのは、浅井良工務店。ホームページを見て耐震・断熱・パッシブデザインを得意とする技術力の高さに惹かれた。確かな施工力があり、かつ住まい手の思いに寄り添い、心を尽くしてくれる家づくりの姿勢が決め手になった。

~将来のために~
家族の暮らしを守る耐震改修
断熱性も向上し、安心・快適な生活が実現

家族の命を守れる安全な家、そして、高齢のご両親とおばあさまの今後の暮らしを考え、耐震性能を向上させたバリアフリーな住まいにしたいと考えていたKさま。
しかし、中古物件は昭和53年築で旧耐震基準(昭和56年以前)の建物。国が定める基準(※1)に当てはめると、改修工事前の耐震評点は0.15で、「倒壊する可能性が高い」とされるレベルだった。このままでは、家族が安心して暮らす住まいとしてふさわしくない。耐震性能を向上させるため、改修プランに合わせた補強計画に基づき、適切な位置に柱・筋交い・壁を追加した。暮らしに合わせた間取りになると同時に、耐震性能も向上。リノベ後の耐震評点は1.25となり、「倒壊しない」建物に生まれ変わった。

また将来、車いすを使うことになっても暮らしやすいよう、1階の廊下幅の拡張と、玄関まわりの改修を実施。門扉から玄関に至るアプローチを緩やかなスロープとし、雨がかからない庇を設けた。玄関扉は3枚スライド式で、開口が大きく取れるため、車いすがゆったりと出入りできる。玄関の左側にある大型収納には、靴や傘などのほか、折り畳んだ車いすを収納した。靴を脱いで上がったところから左右に伸びる廊下の幅は、車いすと人がすれ違えるよう、900mmから1400mmに広げた。

以前の住まいは断熱性能が低かったため、外気の影響を受けて室内環境が変化した。年間を通して温度差を少なくしたいとの思いに応え、建物の断熱性と気密性を向上させた。その結果、リノベ前に比べ、UA値(外皮平均熱貫流率)が飛躍的に改善。UA値とは床や壁、天井、開口部などを経由してどれくらいの熱が外部に逃げるかを示した値だ。数値が小さいほど断熱性が高くなるが、完成した物件は0.46w/m²・k(※2)。この地域の国交省基準は0.87w/m²・kだから、高い断熱性を実現したといえるだろう。

実際、冬はリビングの大きな開口部から日が差し、少しの暖房で暖かく過ごすことができる。南側に配置されたLDKの掃き出し窓からは、燦々と陽光が注ぎ込むため、日中はほとんど照明をつけることがない。夏の暑さ対策にと外部シェードを用意したが、外部シェードなしでも快適だったと話すKさま。
玄関北側の寝室と、南側のリビングの窓を開けると、廊下を通って気持ちのいい風が流れる。その土地が持つポテンシャルを最大限に引き出し、採光と通風を生み出すパッシブデザインの住まいが完成した。

※1 震度6強クラスの地震が発生した場合の倒壊の可能性を示す基準
※2 住宅の断熱に関する新しい設計基準である HEAT20、G2グレードに相当。真冬の室内環境が 13°Cを下回らない断熱性能のことを示す。

~それぞれの風景~
子どもも大人も
自分らしく、日常を愉しむ

ご家族の話を聞いていると、新しいわが家での心豊かな暮らしの手触りが伝わってくる。
お父さまは50年以上にわたり、地元で写真スタジオを経営する傍ら、フォトグラファーとしても活躍。今も風景写真やご家族の日常を撮影されている。
リビングの一角に設けられたカウンターは、愛機で撮った画像をパソコンで処理・加工するためのワークスペース。Macを慣れた手つきで操作する。集中したいときは、旧宅のスタジオで使っていたロールスクリーンを下ろす。完全な個室ではなく、リビングでくつろぐ家族の気配を感じながら趣味に没頭できるのが心地よい。緻密な設計によるリノベーションが叶えた、お父さまのライフスタイルだ。

そのお父さまを支えてきたのがお母さま。妻として家事をこなす傍ら、仕事のパートナーとして、お父さまが撮影した写真の画像処理や事務を担ってきた。
引っ越してからは、1日のほとんどをリビングで過ごす。南側からの光に気持ちが和むこのスペースが1番のお気に入りだ。以前から俳句が趣味というお母さまは、庭の見えるリビングで四季の変化を感じながら、ソファでゆったり、創作に勤しんでいる。

Kさまの祖母であるおばあさまは90歳を超えているが、その佇まいは凛として気品を纏う。歩くこととお出掛けすることが好きで、昔は洋服を選びに毎週のように百貨店まで出かけたそうだ。足腰も丈夫なおばあさまの部屋は2階南側の明るい部屋。ワードローブからその日の装いを選ぶと、アンティークのドレッサーで身だしなみを整える。昔から変わることのない暮らしのリズムを、引っ越し後も変わらず楽しんでいる。

~ここから始まる物語~
楽しい日々が
お子さまの心と体を育む

かつて着物の染付職人をされていたKさまの意外な趣味は、漫画を読むこと。購入した家の庭に元々あった倉庫を活用し、大切にしている漫画のコレクションを保管している。引っ越してからは新しい愉しみもできた。新生活を機に、家庭菜園の横にコンポストを置くことにしたのだ。野菜や果物などの生ごみを、微生物の力で堆肥に変えてくれるコンポストのおかげでゴミが減り、家庭菜園の野菜もおいしく育つ。

そのコンポストから、ある日、カボチャの種が発芽した。家庭菜園コーナーに植え替えて育ててみると、大きな実をつけたので「びっくりしたよ」と興奮気味に状況を説明してくれた、Kさまのお子さま。以前はなかった新たな体験に、心を躍らせる。庭のある暮らしは、自然をより身近に感じさせてくれた。

リビングに置かれたトランポリンは、お子さまのお気に入りの一つ。旧宅では難しかったが、広いリビングなら問題はない。軽やかなジャンプを披露後、キッチンカウンターに回り込み、ソファで一休みして再びジャンプ。みんなが、やわらかな笑みを浮かべながらその様子を見守っている。新しいわが家に移ってからは、お友達を招くことも増えたそうだ。一緒に飛んで跳ねて台の上から壁を登った後は、階段下の秘密基地にも案内する。大人が出入りするには狭すぎる隙間にも、お子さまはするりと入り込む。今は秘密基地だが、体が大きくなったら、また別の用途に使われるのだろう。
Kさまの仕事が休みの日はリビングでボードゲームをしたり、テレビを見て過ごすご家族。リノベーションがもたらしたものは、単なる「広さ」や「便利さ」ではなく、おのおのが「こうありたい」と思う生活を愉しみ、家族団欒のひとときを味わう暮らしなのだろう。

物件概要

  • 建築種別
    木造2階建て
  • 延床面積
    146.46㎡(44.3坪)
  • 敷地面積
    387.2㎡(117.12坪)
  • 家族構成
    5人
  • 立地
    和歌山市