パッシブデザインを構成するもの#02『日射遮蔽』
「日射遮蔽」で
暑い夏も涼やかに。
快適と省エネを両立する工夫
和歌山県の和歌山市を中心に、
パッシブデザインを取り入れた
新築やリノベーション、リフォームを
地元密着でおこなっている
浅井良工務店です。
パッシブデザインの5つの設計項目
1.高断熱・高気密
2.昼光利用
3.日射熱利用暖房
4.日射遮蔽
5.自然風利用
今回はその中でも、特に夏の快適さに
大きな影響を与える《日射遮蔽》について
ご紹介します。
日射遮蔽とは?
室温を左右する「窓まわり」
「日射遮蔽」とは、太陽の熱が
室内に入るのを防ぐことです。
太陽熱の室内侵入を防ぐ方法は、
いくつかありますが、
特に重視したいのは、
窓まわりで防ぐことです。
実は、室内に入る太陽熱の
約7割が“窓”から入り込んでいます。
家の南面には、全国的な
夏の日中の平均値で、
140.8W/㎡の太陽光があたっています。
つまり、1㎡あたり140Wの熱量が
あたっていることになります。
住宅における掃出し窓の
一般的なサイズは、
1.82m×2.0mなので、
南面の窓にあたる熱量は、
3.64㎡×140W=510W/㎡となります。
つまり、夏の昼間、南面の窓1枚に
約500Wの熱があたっている
ことになります。
これはなんと、弱運転の
電気ストーブ1台分に相当。
窓際にずっと電気ストーブを
あてているような状態なのです。
この日射熱を遮る工夫をしなければ、
エアコン負荷も過大になり、
室温の不快さも増すばかり。
窓まわりの日射遮蔽こそが、
夏の快適さと省エネの鍵を
握っているのです。
日射遮蔽、どこでやるのが効果的?
窓の内側・外側、
どちらで日差しを遮るかによって、
効果には大きな差があります。
[表1・図1]は、
アルミ樹脂複合サッシ
+
Low-Eペアガラス(日射取得型)
の日射熱取得率をあらわしたものです。

[表1]

[図1]

・窓本体:49%カット ・レースカーテンあり:63%カット ・外付けブラインドなどあり:88%カット
つまり、「日除けは外でおこなう」
ことが最も効果的であることがわかります。
南だけじゃない!
東西の窓にも要注意
「日差しが強いのは南側」と
思われがちですが、
太陽が南にある時は、太陽高度が高いため、
実は冬季ほど日射熱は
室内に入ってきません。
[表2]は、夏季の日射取得量を
方角の違いによって計数化したものです。
また、[図2]は、和歌山市のサンプル日の
各方位における日射量を表したものです。
※和歌山県は市町村により
4~6地域に分けられる。
それぞれの地域で南(緑枠)より
東と西(オレンジ枠)の係数が
大きいことから日射量が多いことがわかる。
※参考:建築研究所
建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報4.2
いずれも南より東西からの日射量が
多いことがわかります。
実は太陽高度が低い朝や夕方の方が
日差しが室内に侵入しやすいため、
東側・西側の窓の日射遮蔽対策も
あわせて重要になってくるのです。
夏場、建物に入る日差しは
すべて室内温度上昇につながります。
特に、保温性の高い高断熱・高気密住宅は
一度入った熱を逃しにくい特性があるため、
その影響は深刻です。
だからこそ、家づくりの際には
必ず日射シミュレーションをおこない、
「どこから日差しが入るのか」
「どの対策が有効か」を把握
しておくことが重要です。
暮らしに合わせて選ぶ
「日射遮蔽」対策いろいろ
次に、具体的な日射遮蔽の方法を
みていきましょう。
日射遮蔽対策は、大きな定義で考えると、
屋根・壁の断熱性能を高めることや、
窓を小さくすることも含まれます。
しかし、約7割の日射熱が
窓から入ることを考えると、
まず、窓周りの工夫を
考えることが得策です。
また、窓を小さくすることで、
冬に日射熱が利用できなかったり、
昼間の光を取り込めず、
暗い室内になったり、
通風が採れず換気が
悪くなったりしてしまうので、
一年を通じてバランス良く、
自然エネルギーを用いた
快適で省エネルギーな暮らしを実現する
という観点からみても、
やはり窓周りを工夫することが
重要になってきます。
窓は、時間帯や季節に応じて、
住まい手が調整できる場所。
建物に付随するものであれば、
住まい手の事情や好みに併せて
カスタムできるものもあります。
窓の大きさや形状、設置場所によっても
向き不向きな対策があるため、
それぞれの特徴を理解した上で、
住まいづくりのパートナーと
相談して計画するようにしましょう。
窓周りの日射遮蔽方法
① 軒・庇(ひさし)
外観デザインの一部として取り入れられる定番の遮蔽方法。
取り外しができないので、
夏の日差しは遮りつつ、
冬の日差しは取り入れられる
出幅寸法であることが重要で、
●設計者にパッシブデザインの知識がある
●日照シミュレーションをおこなっている
ことが大切です。
② 外付けブラインド
電動式が主流で、
手の届きにくい高所にも対応。
ルーバーの角度を調整することで、
風や光を通しつつ日差しを遮る
ことができます。
防犯機能を兼ねたタイプもあり、
長期的に使える安心感があります。
建物に付随しているもののため、
予め計画が必要です。

外付け電動ブラインド
③ サンシェード・オーニング
夏の間だけ設置できる手軽な対策。
ウッドデッキやバルコニーを日陰にして、
プールやBBQなど外の空間を
多目的に楽しむこともできます。
使わない時は収納できるのも◎。
ホームセンターなどで
手頃に購入できるのもいいですね。
オーニングは建物に固定するため
予め計画が必要です。
サンシェードは固定金物を設置します。
④ すだれ・よしず
古くからの日本の
日射遮蔽グッズといえばコレ!
各種設備の中で最も安価に揃い、
室内から見たときに
涼し気な景色が楽しめるのも魅力的です。
窓にぴったりつけると、窓の傷に繋がったり
開口部からの出入りが
しにくかったりするため、
バルコニーや庇の先に設置するなど
設置位置に工夫すると良いでしょう。
また、長尺のものが多いため、
片付ける場所を考えておきましょう。
⑤ 緑のカーテン
ゴーヤ、朝顔、ヘチマなど
蔓性植物でつくる日除け。
楽しみながらエコに日射を遮れます。
収穫や自然観察も楽しめ、
お子様がいるご家庭にも人気です。
台風など荒天時の撤去方法などを
前もって検討しておくと良いでしょう。
⑥ 使わない部屋を徹底遮蔽
昼間使わない2階の寝室や子ども部屋は、
カーテンや雨戸を閉めて日差しをブロック。
暗くても構わない使用していない部屋を
徹底的に日射遮蔽することで、
他の部屋が暑くなるのを防ぎ、
就寝時の寝苦しさやエアコンの冷房不可を
軽減することができます。
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年々厳しくなる夏の暑さですが、
窓周りの工夫次第で
快適で省エネにすることができます。
住みこなす楽しさをぜひ
味わっていただきたいポイントです。
工務店選びで
住まいの快適性は変わる
日射遮蔽は、パッシブデザインの
5つの設計項目の中でも、
「住まい手の調節や工夫」が
生きる分野です。
自然の力と設計の知恵、暮らしの工夫が
三位一体となって、
住まいを育てていきます。
重要なのは、建てたあとも相談できる
パートナーがいること。
太陽の動きは日々変わり、
暮らし方も変わります。
また、地域によってもそれは異なります。
設計方法や風土について
正しい知識を持ち、
アドバイスできる工務店、
お引渡しの後もずっと
相談したいときに
寄り添ってくれる工務店選びこそ、
快適で省エネな家づくりには
必要不可欠です。
次回は、パッシブデザインのもうひとつの柱
「昼光利用」についてお伝えします。
自然光で心地よく暮らす工夫を、
一緒に学んでいきましょう!
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