パッシブデザインとは
浅井良工務店の家づくりの
大きな柱のひとつに
「パッシブデザイン」があります。
省エネルギーが叫ばれるようになった近年、
注目を集めているワードですので、
一度は耳にしたことがある方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、この「パッシブデザイン」
についてご紹介します。
1. パッシブデザインの起源
「パッシブデザイン」は
英語の”passive(受動的な)”に
“design(デザイン)”を合わせたもので、
1970年代後半のアメリカ合衆国に
起源があると言われています。
オイルショックをはじめとする
エネルギー危機や、戦後急激に
成長した経済の鈍化など、
不安定な経済情勢の中で、
省エネルギーや地球環境問題の観点から、
建築のデザインそのもので
太陽熱を利用する「パッシブソーラー」
という言葉が生まれました。
それまではエネルギー源を
太陽の熱や光から得る
「アクティブソーラー」でしたが、
「パッシブソーラー」は建物の断熱性能や
集熱性能を上げることにより
熱を効率的に集積し、電力を使わずに
温度差などの物理学を用いて
熱を移動させる方法です。
”passive(受動的な)”と呼ばれるのは
これに起因します。
※1970年代以前にもそのような仕組みは
ありましたが、それを総称する言葉が生まれたのは
この頃と言われています。
2. パッシブデザインがもたらすもの
パッシブデザインは、
以下のように定義されています。
建物のあり方に工夫して、
建物の周りにある自然エネルギー
(太陽、風、地熱)を
最大限に活用・調節できるようにし、
高い質の室内環境を実現させながら、
省エネルギーに寄与しようとする、
建築設計の考え方とその実際的手法。『パッシブデザイン講義』
著:野池政宏.
発行:Forward to 1985 energy life
室内の暑い、寒いといった不快は、
健康面への影響につながる場合も
ありますから、室温を良好に保つことは
住まい手の皆様が望むことだと思います。
現在はエアコンを用いて室温を保つ方法が
最も一般的ですが、一日・一月・一年の中で、
どれくらいエアコンの力を借りるのかは、
建物の性能や暮らし方によって変わります。
極端な例ですが、キャンプなどで使うような
テントの中で真冬・真夏に
快適な室温を保つには、エアコンを
たくさん稼働させる必要があります。
また窓のない箱の中で過ごせば、
1日中照明をつけなくては
生活ができません。
パッシブデザインの手法は、
自然エネルギーを用いて
室温の波をなだらかにし、
快適な室温へ近づけます。
そのうえで、足りない分を
設備機器で補うので、
エアコンなどの稼働率が少なくなり、
使うエネルギーは少なくなります。
また照明に関しても同様で、
太陽の光で室内を明るく保つ時間が
多いほど、照明エネルギーを
減らすことができます。
パッシブデザインを用いて快適な
室内環境に近づければ近づけるほど、
電気・ガス・灯油といったエネルギーを
最小限に止めながら生活できます。
「省エネルギーで快適」であることが、
パッシブデザインの特長であり、
期待できる役割なのです。
3. パッシブデザインのメリット
前述の通り、省エネルギーであり、
なおかつ快適性をもたらす
パッシブデザインですが、
その他にもメリットがあります。
建築そのものをデザインして、
動力を使わずに室内環境を
良好に保とうとするものなので、
停電時にも変わらずその快適性を
享受することができます。
年を追うごとに暑さが厳しくなる夏は、
涼をとる術を電力に頼るしかない状況です。
その中で、電力を使わずして
ある程度暑さを凌げる建物であることは、
災害時の備えとして重要なことです。
そして、建築そのものの部材や、
設計の工夫によって成り立つ
パッシブデザインの耐久性は、
建物の耐久性とほぼイコールです。
設備機器は定期的なメンテナンスや
取り替えが必要になりますが、
パッシブデザインは
その必要がないことも大きなメリットです。
4. パッシブデザインを構成するもの
パッシブデザインは、
次の5つの設計項目を意識することが重要となります。
① 断熱
② 昼光利用
③ 日射熱利用暖房
④ 日射遮蔽
⑤自然風利用
これらに、
(1)地域 (2)立地環境 (3)住まい方
の3要素を組み合わせた最適解を
導き出すことにより、
最大の効果を得ることができます。
日当たりや風通しといった
パッシブデザインは、
昔から家づくりにおいて
行われてきたことですが、
これらを感覚で行うのと、
根拠を持って計画的に行うのとでは
得られる効果が大きく変わりますし、
また敷地環境や建物の
性能やデザインだけでなく、
暮らしながらの”調整”も
その効果に影響します。
一概に性能値で測れないところに、
パッシブデザインの難しさと
面白さがあります。
次回からは、それらの要素を詳しく深掘りしていきます。
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