美術館で見つけた、心地いい家のヒント
和歌山県で和歌山・南大阪を中心に地元密着で 新築・リノベーション・リフォームをおこなっている 浅井良工務店の松本です。
今回は、僕が「もう一度、絶対に訪れたい」と思っている建物について書いてみます。
その場所は、デンマークにあるルイジアナ美術館。
「世界一美しい美術館」とも言われている場所です。
もちろん展示されている作品も素晴らしいのですが、設計を仕事にしている僕としては、作品と同じくらい……
いや、もしかするとそれ以上に(笑)
「この建物、気持ちいいなあ」
と、建築そのものをずっと見ていました。
明るいだけじゃない。「光の入り方」が心地いい

まず惹かれたのが、ハイサイドライトから入ってくる光です。
高い位置に設けられた窓から自然光が入り、室内全体をやわらかく明るくしてくれています。
僕は、こういう光の取り入れ方が好きです。
家づくりでも、
「窓を大きくすれば明るくなる」
という単純な話ではありません。
どの方向から光を入れるのか。
何時ごろに、どんな光が入ってくるのか。
その光が壁や天井にどう反射するのか。
窓の位置ひとつで、同じ広さの部屋でも感じ方は大きく変わります。
ルイジアナ美術館では、光そのものを設計しているように感じました。
そしてもうひとつ好きなのが、
レンガの床、白い壁、木の天井。
使っている素材は決して派手ではありません。
それなのに、とても印象に残る。
素材ごとの役割がきれいに整理されているので、空間全体がすっきり見えるんです。
こういう「素材の切り分け方」は、住宅を設計するときにもすごく参考になります。
たくさんの素材を使うよりも、
「ここは木」
「ここは白い壁」
「床はこの素材」
と整理する。
そのほうが、年月が経っても飽きにくく、家具や暮らしも自然になじんでくれると思っています。
廊下を歩くだけなのに、ちょっとワクワクする

そして、特に印象に残っているのがこのガラス張りの廊下です。
両側から庭の緑が見えて、まるで外を歩いているような感覚になります。
でも、僕が好きなのはそれだけではありません。
廊下の正面を見ると、その先に彫刻が置かれています。
建築では、こうした視線の先に置かれるものを「アイストップ」と呼ぶことがあります。
「この先には何があるんだろう?」
自然と目線が前へ向き、歩いてみたくなる。
そして横を見ると、ガラス越しに庭の景色が広がっている。
美術館なので美術品を見る場所なのですが、
ここでは庭の木々や光まで、美術作品のひとつに見えてくるんです。
住宅でも、僕はこういう感覚を大切にしたいと思っています。
例えば、
玄関を開けた正面にお気に入りの庭木が見える。
廊下の先に小さな窓があって、空が切り取られて見える。
ソファに座ったとき、窓越しに庭が見える。
家の広さや豪華さとは別のところで、
「この場所、なんか好きだな」
と思える瞬間をつくる。
それも設計の仕事だと思っています。
小さな空間を通ったからこそ、吹き抜けがもっと大きく感じる

館内を進んでいくと、それまで比較的高さを抑えた空間だったところから、突然、大きな吹き抜けの空間へ出ます。
そこにポツンと立っているのが、僕の好きなジャコメッティの《歩く男》。
これが、ものすごく格好いい。
もし最初からずっと天井の高い空間が続いていたら、ここまでの感動はなかったかもしれません。
高さを抑えた空間を歩いてきたからこそ、
吹き抜けに入った瞬間、
「広い!」
と身体で感じる。
住宅でも同じです。
全部を広くする。
全部を明るくする。
全部を高くする。
それが必ずしも心地いいとは限りません。
少し低い場所があるから、高い場所が気持ちいい。
少し暗い場所があるから、光が入る場所がきれいに見える。
閉じた場所があるから、開いた場所に出たとき開放感を感じる。
僕は、そんな「空間のメリハリ」を考えるのが好きです。
「変える」のではなく、光と空間で表情をつくる
ルイジアナ美術館を見ていて、改めて面白いと思ったのは、
床や壁、天井など、建物全体の素材にはかなり統一感があることです。
場所ごとにまったく違うデザインにしているわけではありません。
それでも退屈しない。
その理由は、
天井の高さだったり、窓の位置だったり、光の入り方だったり、外とのつながりだったり。
素材を次々と変えるのではなく、空間そのもので変化をつくっているんですね。
僕自身、
「こういう設計をしたいな」
と改めて思いました。
そして、こういう建物を見ると、
「もっといい家を考えたい」
という気持ちが湧いてきます。
設計の仕事をしていると、図面の寸法や性能、使い勝手など、考えなければならないことはたくさんあります。
もちろん、それらはとても大切です。
でも最後に住む人の記憶に残るのは、
朝、壁に入ってくる光だったり。
窓から見える一本の木だったり。
お気に入りの椅子から眺める庭だったり。
そんな、数字では表しにくいものなのかもしれません。
だから僕は、性能や暮らしやすさをきちんと考えたうえで、
「なんとなく、この場所が好き」
と思ってもらえる家をつくりたいと思っています。
ルイジアナ美術館は、そんなことを改めて考えさせてくれる場所でした。
またいつか、もう一度訪れたい建物のひとつです。
家づくりの話を、もう少し気軽にしませんか?
ここまで読んでいただいて、
「光の入り方って、そんなに違うんだ」
「自分たちの家なら、どんな窓の取り方になるんだろう?」
「庭まで含めて考える家づくりって面白そう」
そんなふうに少しでも感じていただけたら、ぜひ一度、浅井良工務店の「家カフェ」へ遊びに来てください。
家カフェといっても、
「家を建てると決めてから行く場所」
ではありません。
土地がまだ決まっていなくても大丈夫ですし、
「何から考えればいいのかわからない」
という段階でも大丈夫です。
好きな家の写真を見せてもらいながら、
「この雰囲気が好きですね」
「だったら、こんな光の取り入れ方が合いそうです」
「ここは吹き抜けにするより、あえて天井を抑えたほうが気持ちよさそうですね」
そんな話を一緒にできればと思っています。
家は、間取りだけでつくるものではありません。
光、素材、庭、視線、居場所、そしてそこで過ごす時間。
それらをひとつずつ考えていくと、
「自分たちは、こんな暮らしがしたかったんだ」
というものが少しずつ見えてきます。
家カフェでは、性能や構造のことだけでなく、
洗濯動線や家事のしやすさ、
外とのつながり、植栽の考え方など、
実際の暮らしに近いところまでお話しさせていただきます。
どんな家が正解かではなく、
どんな暮らしが自分たちに合っているのか。
その入口を、ぜひ一緒に考えていけたら嬉しいです。

















