DANRAN COLUMN DANRAN人のコラム

【構造】耐震・制震・免震の長所と短所。基準に関して。

家づくりで気にしたいポイントの1つが地震に対する備え

今後30年以内に高確率で起こるとされている「南海トラフ地震」。

最大震度7の揺れが予測されている和歌山県や太平洋沿岸エリアでは、最も気にかけたい項目の1つです。

住宅を地震に強くする考え方には、主に「耐震」「免震」「制震」といった構造手法があります。

このコラムでは、それぞれの効果や費用などの特徴解説や、法律で定められる基準について紹介します。

 

耐えるか、吸収するか、伝えないか。

構造手法は、地震の揺れをどのように解消するかという考え方によって手法が分かれます。

揺れに耐える「耐震」

1つは建物自体を丈夫にして「耐える」という構造。これを「耐震構造」と呼んでいます。

最も一般的な構造で、柱や梁に強度を出したり耐震壁を入れたりといった補強で、強さを確保しています。

 

揺れを吸収する「制震」

もう1つは建物で揺れを「吸収する」構造で、こちらは「制震構造」と呼ばれています。

建物の内部にダンパーやオモリなどを設置し、揺れを吸収し小さくします

ビルやマンションなどの高さがある建物に採用が多く、一般住宅では補助的な利用が多い構造です。

 

揺れを伝えにくくする「免震」

建物と地面の間に装置を設置し、揺れを伝えにくくする手法が「免震構造」です。

ゴムやバネなどを土台部分に設置し、建物に揺れを伝えにくくします

3つの手法の中では最も揺れにくく、比較的新しい手法で、大型の建物に導入例が多い構造です。

 

 

 

 

どの手法も、根幹は耐震構造。

3つの構造手法は、それぞれが全く違った構造で建てられているのではありません。

建物の基礎的な構造としては、どれも耐震構造をベースに建てられています。

地震による揺れを吸収する装置を耐震構造の建物に付加して性能を向上させる手法が、

制震構造や免震構造の考え方です。

 

 

各構造の長所と短所

3つの構造にはそれぞれ、地震で受ける揺れの強さや地盤、

建築時やメンテナンスにかかるコストといった事に特徴があります。

 

耐震構造

・長所

一般的な建築構造のため、十分な性能でコストが抑えられメンテナンス費用もかからない構造です。

基準が法律で定められており、これをクリアしないと建てらないほか、

法律による段階的な性能評価があり強度に対する保証が明確です。

地震だけでなく風による揺れにも強く、立地や地盤の影響も少ないため土地を選ばず建築が可能です。

設備を用意する必要がないため、広い空間の確保や間取りに自由度を比較的持たせやすくなります。

また施工業者も多く、「SE構法」といった木造住宅でも性能が発揮できるノウハウが多く蓄積されています

 

・短所

揺れは建物に直接伝わるため、内部の人や家具などが受ける揺れも大きくなります。

家具の転倒や破損に対する備えが必要となるだけでなく、建物自体も損傷を受けるため、

何度も損傷を受けた状態だと強度は保証されません

 

 

制震構造

・長所

コスト面や工事期間で、耐震構造と後述する免震構造の中間といった立ち位置です。

揺れは耐震構造よりも少なく、建物自体の倒壊や損傷も少なくなります

制震装置のメンテナンスが必要となりますが、比較的簡易でコストも低く済みます。

 

・短所

揺れは小さくできますが、耐震構造と同様、建物や内部の人や物に損傷が起きる可能性は残ります

制震装置を建物内に設置することにより、間取りに制限が発生します。

また耐震構造と比べ軟弱地盤に不適とされています。

地盤の強度による影響が大きく、本来の効果が得られない場合があります

 

 

免震構造

・長所

揺れを建物に直接伝えないため、影響をほとんど受けません

そのため建物自体はもちろん、人や家具などの損傷も少なくなります。

3つの構造手法では、最も地震の被害を受けにくいとされています。

 

・短所

機能面では最も良いとされる反面、必要以上の性能とも考えられます。

平屋や2階建て程度の一般住宅では導入例が少なく、施工を行なえる業者が限られています

免震装置を設置するスペース確保が必要となるため、広い土地を用意しなければいけません。

そのため土地や建築費用がかさみ、また定期的なメンテナンス費用も必要になります。

結果的に多額の費用とのバランスがとりにくい事が懸念されます。

構造としては横方向への揺れに強いとされていますが、縦(上下)方向には効果が低い構造です。

免震装置を設置するため、地下の活用や狭い場所への導入は難しくなります

合わせて、制震構造と同様に軟弱な地盤には向かないため施工出来る土地を選びます。

 

 

 

 

国の基準。構造手法で変わる、耐震性能の考え方。

住宅メーカーが性能をバラバラに謳っていては、家を建てようとしている人が混乱してしまいます。

安全性確保のため、建物の最低限の強度や性能を評価する基準が法律により定められています。

基準は敷地や構造、設備などに関する「建築基準法」と、

地震に対する建物の強さを定める「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」が、

家づくりに関わる法律として上げられます。

また建築基準法は1950年に制定以降、何度か大きく見直され、より地震に強い基準に改正されています。

 

 

耐震等級とは?

耐震等級とは、性能によって3段階に基準が定められた性能の指標です。。

建築基準法で定められている最低限の耐震性能が耐震等級1に相当し、

この基準をもとに品確法の「住宅性能表示制度」で耐震等級2や3が定められています。

 

耐震等級1は、現行の建築基準法に準拠した最低限の耐震性能。 数百年に一度程度(震度6強や7程度)の強い地震でも倒壊しない基準です。 耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の性能や耐震強度がある基準。 避難場所に設定される学校などは、この基準以上の認定が必要とされています。 耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震能力がある基準。 過去に起こった大地震では、震度7の地震が2回起こっても 倒壊しなかったという実績があります。

 

耐震等級取得のメリット

高い耐震等級の取得は任意のため、審査を受け認定が必要となります。

審査や認定を受けるための費用も必要となりますが、地震保険料の割引や住宅ローン金利の優遇

また、耐震等級2以上が求められる「長期優良住宅」の認定を受けると、

各種税金の控除や減額措置が受けられます。

さらに等級や長期優良住宅の取得は、資産価値を上げることにもつながり、

建物の売却時などに付加価値としても活用出来ます。

 

まとめ

各構造による違いや基準について理解は深められたでしょうか?

構造によって地震に対する考え方や、かかる費用はさまざまです。

求める耐震性能や間取り、かけられる費用など、人それぞれ求める形が違う家づくり。

それぞれの良し悪しを比較して、適した構造を検討してみてください。

2024.01.11
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